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本年度は、明治、大正、昭和初期にかけての社会学を中心とした基本的な文献の収集をおこなうとともに、帝国大学、東京帝国大学、京都帝国大学における「大学一覧」などの資料(史料)の収集をおこない、社会科学の制度に関わる講座の設置形態、授業科目などの変化について整理、解読を進めた。また、進行中であるが、帝国議会教育議事総覧を検索して高等教育に関わる議論の推移等についても整理をおこなっている。その過程で得られている主な知見は以下の通りである。
第一に、仮説ではあるが、社会学領域での科学理論的な展開の一つは、大正期末から昭和初期の時期を目安としてとらえることができるのではないか、ということ。それは社会学の概説書(通常科学化の指標でもある)が多数公刊され始めたことと同時に、社会学の科学性(「理法」や「科学」といった表現)についてバラエティをもって叙述されていることに見ることができそうである。第二に、社会科学領域の専門的な分化、制度化は、法学領域が先陣を切り、量的な多さも示すが固定的傾向を持つこと、それに対して、経済学領域においてはその変化が非常に激しく科学論を対象とした議論も多いこと、また、社会学領域は分化、制度化は緩慢ではあるが、現実との関わりのなかでの実践的な問題関心を背景とした科学方法論的な議論が頻発している、といった比較研究の可能性が見えてきたことである。
これらの成果をもとに、次年度はさらに高等教育の展開との関連性についても分析を進める予定である。
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