研究概要 |
本年度は研究計画上,データ収集作業のみであり,具体的研究成果を示すのは次年度の予定である。本年度に実施したデータ収集は,全国の地方自治体を対象とした郵送留置型アンケート調査と静岡県庁,静岡市役所等に対して実施したヒアリング調査を柱とする。 1,郵送留置型アンケート調査については,全国の市町村から約2,200市町村をサンプリングして実施した。兵庫県南部地震後,防災基本計画が改訂されたこともあり,各市町村においても地域防災計画の見直し作業が進められているが,本調査票は,行政-住民-民間支援システムのネットワークが計画に組み込めるかに関心を払いながら,被災後の情報収集・伝達システムに焦点を絞って設計された。発災後の住民の情報行動をどのように想定しているか,当該想定に適した情報伝達が可能な体制を準備しているか,また,震災時に評価の高かったコミュニティFMやCATVなどの地域メディアの利用予定等多岐に渡っている。回収率は約6割に達しており,郵送法を用いた調査としては極めて高い回収率である。 2,静岡県は,震災後「300日アクションプログラム」と称する緊急改善策を実施した。東海地震の恐れが警告されて20年,もっとも対策の進んだ県において,阪神大震災以降,いかなる見直しがなされたかを中心にヒアリングを実施した結果,官民の協力による緊急防災支援室という極めてユニークな編成のユニットが注目に値しよう。同様の改善策が静岡市においても実施されており,時系列別災害対策本部体制という注目に値する新体制を計画していることをヒアリングによって知ることができた。
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