地方分権化の時代において、もはや自治体自身の自己変革は不可避的である。問題は、その担い手・受け皿となる主体としての基本姿勢と能力の向上である。その変革主体とは主として次の2つである。1つは自治体・職員の能力向上、もう1つは地域社会・地域住民の能力向上である。本研究の主題は、まさにこの両者間の新しい関係のありかた(理念)や動向を検討していくことである。つまり新しい関係のありかたとしての「新しいシステムづくり」(例えば、まちづくり市民会議など)のモデルを構築していくことにある。その具体的な実践事例の実態分析からパラダイム転換や理論化作業に取り組むことである。 平成8年度は、主として前者の主体である「自治体職員の能力開発」の現実分析を進めて、その成果は『佐賀大学文化教育学部・研究論文集』にまとめている。また後者の「新しいシステムづくり」についても、調査は進んでおり、既にその一部は研究会などで発表している(「地方自治体の政策形成過程への住民参加-自治体テクノクラートと住民組織の戦略-」東北大学経済学部、平成9年2月28日)。この時の草稿もできており、いずれ学会誌等に発表したい。
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