本研究の目的は、「地方分権化時代に対応して、行政・市民・職員・企業・団体などの総参加体制による新しいまちづくりシステムのありかたを理論的・実証的に考察する」ことであった。 平成8年度は、主として自治体・職員の側から主体としての政策形成能力研修のありかたに焦点を当て、概要を『佐賀大学・研究論文集』にまとめた。 平成9年度は、逆に地域社会や地域住民の側から見て、市民参加の要望が「まちづくり市民会議」など「市民参加型組織としての行政組織のオープンシステム化」をさらに進めている実態を検討してきた。住民意識調査の結果を見ても、従来の行政単位と実際都市とのカイ離から、住民の日常生活に対応した広域行政圏化や市町村合併を望んでいることが明らかとなった。自治体は新しい状況変化への自己変革を迫られているのである。とくにこれからの行政組織は、まちづくり政策官庁として複合的地域主体のコーディネーター・サポートセンターとしての役割期待を担い、まちづくり、ひとづくり、組織づくり、政策づくりなどに積極的に取り組んでいかねばならない。そうした過度期にあるというダイナミズムを分析してきた。この成果内容は、2つの学会誌、2つの口頭発表、2つの出版物として公表し『本報告書』にまとめている。
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