自治体計画は、基本的には国レベルでの全国総合開発計画によってその方向性と内容を規定される一方で、他方では市町村それぞれの地域的特殊性によっても決定されている。地域圏で、中核都市と他の地方都市や町村とのあいだで発生した「地域間格差」のなかで、各自治体は、その置かれた地域的条件に規定されながらも、さまざまな地域振興や地域活性化の方策を模索し、政策化の努力を行っている。 「地方の時代」といわれるなかで、「地域自治」の内容はますます貧しくなってきている。地域の主体的な担い手をどのようにして創造するか、その主体形成プログラムが重要な課題となっている。 本研究では、熊本県において「総合計画」とその具体的な表現たる地域施策が、どのようなプロセスで住民生活に関わっているか、その現実的な展開課程に注目するとともに、住民主体の側にどのようなかたちで、その啓発と浸透、そしてフィードバックがなされているかを明らかにするために、住民主体の社会教育・生涯学習活動に焦点を置いた実証的な研究を進めた。 生涯学習は、市民自身の自主的、自発的な学習活動であるとともに、地域政策とそれを支えるコミュニティ・システムの改革を迫るものである。そして、こうした展開を創造する課題は、「学びから行動、そして実践へ」というまちづくり活動の活力を引き出す生涯学習行政の検討から、そのプログラム化を考えることができる。 本研究は、こうした問題意識のもとに、自治体が、どのような政策決定過程により、どういう政策を選択しているかを分析することにより、「地方分権時代」の政策最適化の手法を提示し、同時に市民主体の形成をはかる学習活動とのフィードバック過程の検討を行った。
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