本研究のテーマ、「地域政策と自治体計画」は、日本社会の変動過程を、「生涯学習社会」「男女共同参画社会」「ボランティア社会」という3つのキーワードでとらえようとする試みである。 「地方の時代」といわれたこの20年間、「地域自治」の内実はますます貧しくなってきたこともまた指摘しなければならないことである。こうした社会システムの変動期にあたって、地域の主体的な担い手をどのようにして創出するか、その主体形成プログラムが重要な課題となっている。 本研究では、こうした問題意識に基づき、「地域政策」が、どのようなプロセスで市民生活に関わっているか、その現実的な「自治体計画」の策定過程に注目するとともに、市民主体の側がどのようなかたちで意思決定へ参加し、活動主体化とフィードバックがなされているかを明らかにするために、社会教育・生涯学習活動に焦点を置いた実証的な研究を進めた。 生涯学習は、市民自身の自主的、自発的な学習活動であるとともに、地域政策とそれを支えるコミュニティ・システムの自己革新を迫るものである。そして、こうしたコミュニティ主体を創造する課題は、「学習活動から活動学習へ、そして実践運動へ」というまちづくり活動の活力を引き出す生涯学習行政の検討から、そのプログラム化を考えることができる。さらに、本研究では、自治体が、どのような政策決定過程により、どういう政策を選択しているかを実証的に分析することにより、「地方分権時代」の政策最適化の手法を提示し、同時に市民主体の形成をはかる生涯学習、市民参加、ボランティア活動の可能性の検討を行った。
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