静岡県掛川市は、緑茶の産地として有名であるけれでも、近年においては、昭和54年(1979年)に全国市町村にさきがけて「生涯学習都市宣言」を行った自治体として周知されている。今日では、生涯学習や生涯教育の考え方は国民の間でかなり理解されていると推測できるが、当時の日本社会のおかれている状況の中でそのような(生涯学習の)考えをいち早く行政の現場に持ち込むにはかなりの勇気が必要だったと思われる。 今回の調査研究ではテーマである「地方都市の地域活性化」に関連する問題点を中心に各種資料の整理・調査した。また、新潟県柏崎市では、1996年9月の段階でコミュニティ・センターごとの聴き取り調査を実施し、やはり生涯学習や地域福祉の視点から「地域活性化」の方向性を探ってみた。 このたびの調査地である掛川・柏崎両市当局の目指す『地域活性化』との関連で結論づけて言えば、これらの都市では、産業優先の政策や市民の地域間交流や国際交流については一応の成功をおさめたと考えられるので、これからは地域社会の福祉政策などソフト面での一層の充実を計っていくことが望まれよう。また、地域のリーダーに対する配慮ばかりでなく、地域コーディネーターの活躍できる「場の提供」を今後ヨリ真剣に考えていく必要性が生じることとなろう。 同時に、地方都市における地域活性化計画の「総合化(システム化)」が、とりあえず要求されるだろう。
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