「生涯学習都市」としての掛川市は、当市が地理的にみて静岡県の西部と中央部が接する位置にあり、また、1977年11月に閣議決定された三全総の指定圏域(1市7町の東遠定住圏)でもあったことから、早い時期から地方都市のうち活動的な市域の一例として、全国的に知られていた。 今年度の調査研究では、I.旧市街地・戦後開発地域と新興住宅地(旭ヶ丘地区)との比較調査、II.地域コーディネーターに対する聴き取り調査、の2種類を実施した。 第一の地域間の比較調査に関しては、「地方都市の地域活性化」というテーマに沿って、A.江戸時代から市街地を構成している2地域(大手町・松尾町)B.戦後の市制施行以降都市化が進んだ2地域(緑ヶ丘・亀の甲)の両者と、C.新興住宅地(旭ヶ丘地区、68%の者が居住年数10年以内)の3類型比較検討を中心に実査した。小結論としては、城下町をモデルとした「まちづくり」を試みている掛川市は、部分的な地域経済活性化やイベントの開催等の手段での「人の触れあい」による地域活性化には成功しているものの、日本経済全体の停滞的要素と相まって、磐田市その他の周辺地域も含めた広域市域の「発展」は未だに将来への課題となっていることが観察できた。 第二の地域コーディネーターに関しては、掛川市における「生涯学習メンター」の活動は特筆できるものである。指導者たるメンターは、ハ-モニカレッスン・親子での竹細工・星座チャレンジ教室・遠江33番札所めぐり・愛犬のしつけとマナー教室などの講座を開き、それらのコーディネートに努めている。
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