北海道帯広市、わが国地方都市の一例として人口17万のこの都市が今日どのような都市社会であるかを捉えることを課題とし、その方法として当市に存する各種の集団・組織の諸形態を把握してきた。これまで現地諸資料から約4千団体の存在を確認し、この内の4百団体へその設立経過、会員数と分布、内部組織と役職者、活動の展開、当面する諸課題等について質問表を郵送し、172団体から回答を得た。その後これら収集資料を整理しつつ知見を文章化している。この際当該団体が真近な地域社会たる帯広市の中で占める位置すなわち他団体や帯広市全体との関係のありように注目するとともに、役職者らが多重に就任している状況を捉えてきた。また当市昨今の社会構造を捉えるために必要な限りの過去すなわち当市に生じた数々の社会変化へ遡ってもいる。 こうして本年度までに得られた知見は、当市には世帯数と事業所数を含めておよそ人口の半数に当たる約8万余の集団・組織が存していること、昨今毎月少なくとも7〜8程度の新たな集団ないし組織が結成されていること、中分類で60余、小分類で3百余、細分類で1千前後に分類される多種多様な集団・組織が見られること、法制度に基づくか全国組織の一環として組織されるものから当市においてだけ任意に結成される小集団まで多様な形態があること、いくつかの分野で近年多様さが際立っていること、当市の全体ないし特定部分に関わる数千人の役職多重就任者を指摘できること、そしてなにより当市において生きる人々がこれら集団ないし組織の一員としてその生活の展開をしており、それらがこの都市と社会たらしめていると見なされること等である。次年度はこれまでに素描してきたいくつかの分野に加え、現地資料をさらに収集しつつ、ほとんど全分野について素描して行く予定である。
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