本研究は、地方都市から大都市に流出する若者をいかに地方都市に定着させるかを情報の受信・発信の視点から研究を施すものである。これまでの仮説から地方都市の若者が大都市の流出する大きな要因にひとつに情報量の問題があると考える。そして情報量の問題を解決するために、地方都市も大都市と同様にテレビジョンのキ-局すべてがリアルタイムで放映されることを第一に考えた。同時に地方都市に定着するためには映画や雑誌等の舞台になり、そこに若者のアイデンティティが共有されることにあると考えた。 そこで、若者のアイデンティティ共有には10代から30代、さらに40代にもかかわる映画や雑誌の舞台となり、多くの人びとに影響を与えてきた、(1)スタジオジブリ。(2)L・M・モンゴメリ-の作品。そして(3)ビアトリクス・ポタ-。以上の3領域を対象にしてヒァリングを中心とした予備調査を実施してきた。スタジオジブリの作品では山形県高瀬地区。新潟県栃尾市。モンゴメリ-の作品ではカナダ。そしてポタ-の作品ではイギリスと国内外を訪れた。いずれも日本人女性に大きな影響を与えたものであり、そこには若者のみならず幅広い人びとのあこがれの地でもあった。予備調査の段階では、いずれも地方都市ならではの美しい風景が存在していること。そして映画や雑誌等にて紹介された以上の舞台であることが明らかになった。つまり地方都市といえどもそこに人びとのアイデンティティを共有するものが存在していることを意味している。本年度の実績としては以上の点である。最終年度は、いかに若者のアイデンティティの共有が可能かを模索し、ある
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