本年度は、本研究の最後の年にあたるためにその成果をまとめるための作業を中心に行った。その結果は、別の研究成果報告書に詳細にまとめたのでそれを参照されたい。 その他に本年度は、本研究テーマにある、情報の受信・発信という概念を明確にするため、取り上げたのが若者に影響を与える媒体のひとつである映画であった。映画はマス・メディアのひとつであるとともに、放送(TV)と同様に映像を中心としている。特に、映像に対する認知度が高いのは当然のように若者であった。その若者に映画が与えた影響を、学説研究であるH・ブルーマ-の実証研究を参考にした。その理論の背景にある模倣と受容過程を実際の映画に置き換え、検討を加えてみることにした。そして、映画と人間行動として、今日映画が若者に与えた意思決定をいくつかの事例をもとに分析してみた。それに該当させたのが、日本におけるスタジオジブリの作品、海外においてはケヴィン・サリヴァンの作品であった。昨年に続いて、山形県北山形高瀬集落、カナダ、プリンス・エドワード州をたずね、そこに集う若者を中心として、女性文化の視点も含めたヒアリングを実施した。その結果は報告書に記してあるものの映像という媒体の影響力の根強いことを伺わせる結果も多く判明した。TVとはまた違った見方もできたことに興味をひかれた。 いずれにせよ、本年度は昨年度の補充調査も実施し、学説的背景を研究成果にまとめあげることを中心に行うことができた。若者の地方都市定着へ向けて、社会学が何をすべきかという課題にひとつの問題提起をなす結果と考えてる。
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