平成9年度は、主として1995年に行った30代調査のパネルスタディに専念した。前回の調査では471名が対象者であったが、今回の調査では有効回答数198名と、抜け落ちがめだった。理由の多くは転居である。 今年度は、義務教育終了以降現時点までの(10代半ばから30代半ばまでの約20年間)離家および自立のプロセスと親子の援助関係に黒点を置いた。学卒、離家、就職、結婚、第1子の出生などのライフコース上の主要な出来事がどのように経験されているのか、そしてそれらのパターンの相違は親子関係(とくに現時点での援助関係および将来的な扶養関係)にどのような影響を与えているかについて分析を試みた。 また、黒点化された時期が成人への移行期にあたるため、自立(精神的・経済的)のプロセスと現代の30代(主に1960Sコ-ホ-ト)の自立の態様を抽き出すことを第2のポイントとした。さらに、ジュンダーの視点からいえば、この時期の多くの女性対象者は無職であり、いわゆるM字曲線のボトムを抽いていると想定されるが、30代女性の就労と家庭責任の考え方、および自立意識にも注目して分析を試みた。なお、これらのまとまった成果は、次年度(平成10年度)に提出する予定である。
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