本研究は、高齢社会における在宅介護支援としてのデイサービスの役割と今後の課題について実証的研究を目的としており、本年度は以下の調査研究をおこなった。1)先行研究(文献)や実態調査報告によりデイサービス事業の理論と方法の枠組みを整理・分析した。2)デイサービス事業実施に関して先駆的事業を実施しているサービスセンターを調査対象としてその事業の独自性とそのための条件について、ヒヤリングを通して検討した。3)上記の枠組みにしたがって、一定地域内におけるデイサービス事業の将来像を実験的に調査研究するためのプリテストと調査準備を行った。調査研究対象施設は、長野県松本市内の寿デイサービスセンター(A型)ならびに真寿園デイサービスセンター(C型・E型)、横浜市長津田地域ケアプラザ(B型)、豊田市地域福祉サービスセンターで、各デイサービスセンター利用高齢者とその家族(15世帯)に対して訪問面接調査(平成8年8月中・下旬、平成9年2月中旬実施)ならびにアンケート調査を2月21日から約2週間を目途に実施した。 調査研究の成果の第1は先行研究の整理・分析の結果から以下のことが指摘できる。(1)概念の多様さと枠組の未整理がある(2)痴呆性や寝たきり、虚弱高齢者へのサービスプログラムには特徴があり、かつその利用効果は高齢者と介護者家族の双方に発揮されている(3)利用者が主体的にプログラムに参加することは治療的意味をもつということである。第2は本調査研究(15名に対する訪問面接調査)でのデイサービスの実態は以下のようである。(1)利用高齢者と家族介護者とも利用満足度が高い。その要因としてプログラムの種類の豊富さと楽しさや利用者の存在を尊重するデイサービススタッフの対応(2)デイサービス利用の効果は、生活の日常性と連続性の観点からすると不十分さが指摘できる(3)デイサービスの利用時だけの把握だけでなく高齢者の生活をトータルに把握するソーシャルワーク的な対応が必要である。本研究は2年間の継続研究であるため、統計的調査の分析とそのフォローアップも同時に実施しながら考察する。
|