本年度は以下の視点と研究方法によって調査研究をおこなった。1)デイサービス事業に対する利用高齢者とその家族介護者の利用評価の実態を明らかにし、利用者主体のデイサービスのありかたを考察する。2)地域における「高齢者保健福祉計画」さらには在宅介護支援システムにおけるデイサービスの役割や機能について考察する。 以上の調査研究から、第1は利用者主体のデイサービス事業の今後の課題が整理できた。その課題とは、(1)ゲームやレクリエーションなど参加プログラムの選択肢を増やし「子ども扱い」しないプログラムの開発が重要(2)高齢者の協調性を高めるためには集団的対応も重要ではあるが個々の高齢者の特質(パーソナリティー、疾病、生活歴)にあった個別的な対応(援助と心理的サポート)が必要(3)高齢者の生活の日常と連続の特質から、デイサービス事業の意味を見いだすことの重要性(4)利用高齢者の持っている能力を開発したり活用することで高齢者自身が役割を担えるようなプログラムの開発が必要である。第2は、在宅の要援護高齢者への福祉サービスの充実とQOL(生活の質)の確保の観点から、デイサービスと他の在宅介護支援サービスを積極的に連携させることの重要性が明らかとなった。デイサービスは在宅の要援護高齢者にとって社会的孤立の解消、心身機能の維持や、家族介護者の身体的・精神的な介護負担を軽減することに重要な役割があるとともに、他の利用者たちやセンター職員との情報交換から福祉や医療のサービスへの利用が促進され可能性が高いからである。今後、公的介護保険導入とともに在宅介護支援体制の充実にあたって、デイサービス事業と他の在宅支援サービスの密接な連携の構築が重要である。
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