本研究は高齢社会における在宅介護支援としてのディサービスの役割と今後の課題について、2年間の実証的研究をおこなった。まず96年度での研究成果は、第1に先行研究の整理分析では、要援護高齢者へのサービスには各々の高齢者の特質にあったサービスプログラムに特徴があること。第2は利用効果は高齢者と介護者家族双方に発揮されていること。第3はディサービスへの高齢者の満足度は高いものの、各々の高齢者の生活の日常性と連続性との関連ではまだ課題が残されていることなどが明らかにされた。また97年度の調査研究成果として、第1は利用者主体のディサービス事業の今後野課題として、(1)ゲームやレクリエーションなど参加プログラムの選択肢を増やし「子ども扱い」しないプログラムの開発が重要(2)高齢者の協調性を高めるためには集団的対応も重要ではあるが個々の高齢者の特質(パーソナリティ、疾病、生活歴)にあった個別的な対応(援助と心理的サポート)が必必要(3)高齢者の生活の日常と連続の特質から、ディサービス事業の意味を見いだすことの重要性(4)利用高齢者の持っている能力を開発したり活用することで高齢者自身が役割を担えるようなプログラムの開発が必要であることが整理できた。第2は、在宅の要援護高齢者への福祉サービスの充実とQOL(生活の質)の確保の観点から、ディサービスと他の在宅介護支援サービスを積極的に連携させることの重要性が明らかとなった。ディサービスは在宅の要援護高齢者にとって社会的孤立の解消、心身機能の維持や、家族介護者の身体的・精神的な介護負担を軽減することに重要な役割があるとともに、他の利用者たちやセンター職員との情報交換から福祉や医療サービスへの利用が促進される可能性が高いからである。今後、公的介護保険導入とともに在宅介護支援体制の充実にあたって、ディサービスと他の在宅支援サービスの更なる密接な連携の構築が重要である。
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