2年目に入り本研究は、一方で昨年度実施したゆたか福祉会の共同作業所の入所者全員と、親・家族を対象とした「加齢化・高齢化問題実態調査」の調査結果の検討をすすめながら、98年度夏に1期工事が完成する福祉村に関わっての、関係者からのききとりを行うという2本立てで、取り組んだ。 実態調査の分析は、だいたい月1回のぺ-スで、各共同作業所あるいは生活施設ごとの状況を担当者からの報告に基づいて行った。検討の結果、入所者それぞれに障害の程度や家族状況などに差があり、相互の比較はきわめて困難である。しかし「加齢化・高齢化に伴う諸問題」への対応を、ゆたか福祉会全体の課題として取り組むには、おおまかでもある程度の評価基準を設ける必要がある。また、評価基準に基づいての問題把握は、時間の経過に伴う問題状況の変化を客観化するためにも重要である。これらのことから、調査結果をデータ・ベースとして活用できるように入力フォームを作成し、現在、データ入力の作業に取りかかっている。 また、福祉村建設にかんしての関係者からの聞き取りは、昨年度に引き続いて、今年度はゆたか福祉会副理事長、および名古屋勤労市民生活協同組合専務理事からききとりを行った。ゆたか福祉会は設立当初から、地域との連携を軸に共同作業所づくりをすすめているが、今回、名古屋の市街地を離れて奥三河の山間部に福祉村建設が実現した背景には、ゆたか福祉会の協同組合的運営と、消費生協、医療生協など他の協同組合との結びつきが大きく関わっていると、考えているからである。なお創設期に関してのききとりは、日本福祉大学「研究紀要」に掲載された。他も引き続いて掲載の予定である。
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