本研究は宮城県北部の1市12町(古川市、中新田町、小野田町、宮崎町、色麻町、松山町、三本木町、鹿島台町、岩出山町、鳴子町、涌谷町、小牛田町、南郷町)と、南部の2市3町〔名取市、角田市、蔵王町、村田町、川崎町〕を対象地として調査が行なわれた。介護を要する高齢者の家族の主介護者を中心として実施されたが、そのサンプル数は、北部が961世帯、南部が601世帯、合わせて1562世帯、つまり、1562人の主介護者である。この調査は質問法自記式による留置調査法で配布・回収は各市町の民生委員、保健婦、ホームヘルパーの協力により訪問する方法がとられた。そうした方法による調査から得たデーターを研究代表者を中心にチームのメンバーが分担し、分析、考察し、執筆した。報告書の構成は以下の通りである。報告は、北部と南部の結果を別々にまとめている。 結果:今回の調査は主介護者の介護に関わる意識の状況を知ることを目的とした。介護サービスの利用度と、主介護者の態度・意識・志向との関連や、さらに、世間体や伝統的な家族扶養意識との関係を探ることにあった。両地域とも同居率が高く98%、殆ど介護は家族に依存し、世間体というより家族介護は当然という状況であった。サービスの利用状況は30%で、しかし利用意向は5割一寸あり、利用拒否が3割ほどであった。いまだに、公的サービスをうけることに拘りが見られた。しかし、ギリギリの限界でサービスを利用しており、在宅介護のためのサービス利用が選択肢の中に入っている事がわかった。「介護にやり甲斐を見出し」「自己犠牲感がない」という状況は「介護も燃え尽き」につながる全段階とも言え、介護の社会化を阻害する問題であり、今後の課題である。
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