本年度は、昨年度末に実施した地域有力者間の社会ネットワーク調査のデータ入力、解析を中心に行い、併せて、その後のフォロー調査を主に面接と補足資料収集中心に行った。 5月〜9月にかけては、昨年度末に取りきれなかった一部対象者のフォローデータの収集を行うとともに、Krackhardtらの認知社会ネットワーク研究のその後の進展を検討しながら、分析手法の検討を行った。 その後、調査データの入力作業を行い、解析作業に取り掛かったが、調査の結果、予想外に回答データ量が多く、事前予想より、データ入力ならびにそのチェックに手間とコストが取られることとなった。 それと平行しながら、認知社会ネットワークデータの処理プログラムの開発を、コンパイラとしてMicrosoft社のFortram Power Stationを利用して行い、現在認知社会ネットワークデータのネットワーク基本統計量算出プログラムの開発を、一部デバック作業が残されているものの一応終了し、ネットワークに関する基本的な統計量を得ている。 まだプログラム自体のデバック作業が完全ではないので断定は出来ないが、現在概ね言える知見としては、従来筆者が扱ってきたデータ(短大生、高校生)に比較すると、この地域の有力者間で、社会空間認知の共有度が予想外に高いということが言えそうであり、予想外に緊密なネットワークが形成されているということが言えそうである。 今後の課題として、地域政治家や有力者の政治的ポジションや地域の意思決定を左右しそうな、認知社会ネットワーク上の指標を発見していくことが残されている。 また当初今年度末の再調査を予定したが、データ入力等に予想外のコストと手間がかかったことからそれについても今後の検討課題としたい。
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