本研究は、学校の自己革新過程におけるリーダーシップの影響力と組織構造を分析することによって、学校改革の制度的・経営的特徴を解明することを目的とした。茨城県の高等学校政策と指導行政の展開、茨城県立高等学校の特色ある学校づくりの経営実践を研究対象とし、次の3つの課題に取り組んだ。 1.研究の枠組づくり:研究テーマに関する先行研究の分析を行った。2.高等学校政策と指導行政の資料収集・分析:事例校の特色ある学校づくりに対して影響を与えた政策・指導行政を明らかにするために、茨城県教育庁を訪問し資料を収集するとともに、教育庁担当者に対するインタビューを行った。3.事例校調査:事例校の茨城県立高等学校において、資料収集、管理職と主任教諭に対するインタビュー、全教員と半数の生徒に対する質問紙調査を行い、特色ある学校づくりにおけるリーダーシップの影響力、組織構造、改革の成果と課題を明らかにした。 以上の研究成果は、次の学校改革の制度的・経営的特徴を解明したことである。1.学校の課題意識と裁量を尊重する指導行政が学校改革を可能にしている、2.学校改革の萌芽期には校長のリーダーシップがきわめて重要である、3.学校組織の特別委員会が斬新的に改革を主導し、学校改革のポテンシャルを高めている、4.学校改革によって獲得された学校のシンボルはスクール・アイデンティティの形成に貢献し、教育的・経営的成果をもたらしている。 なお、これらの研究成果は、1997年6月1日に東京大学で開催された日本教育経営学会第37回大会において発表した。
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