1.先行研究のレビュー:大学生、とりわけ女子高等教育機関に在学する女子学生を対象とした、進路選択、ライフコース選択に関する先行研究を蒐集し、批判的レビューを行った。この中には、われわれ自身が行った研究(「現代『女子大学』生の行動と意識」(『人間発達研究』No.19pp.52-66 1994)を含む。 2.女子高等教育機関に在学する女子大学生対象の実証研究:先行研究のレビューに基づき、合計3種類の質問紙を作成し、1996年12月〜1997年1月にかけて実施した。対象者は1女子大学の学生合計約400(3種類の合計)である。コーディング、データ入力を終えて、現在集計作業中である。 3.本年度の知見は上記の分析結果を待たねばならないが、調査研究の過程で以下のような今後の課題が浮かび上がってきた。これらについては、次年度に扱う予定である。 (1)ジェンダーバイアスな進路選択現象を対象とするためには、女性のアスピレーションと社会的地位(およびそうした進路展望、ライフコース選択)を測定する新たな用具の開発が不可欠である。従来の研究では、多くが、主として男性に該当する職業威信尺度や職業を中心とする地位尺度をそのまま借用してきたが、この基本的前提を課題化する必要がある。 (2)この尺度は、男性とは異なるアスピレーションの対象、女性のアスピレーションの多次元性と多様性を考慮に入れ、かつ最終的には性によらないアスピレーションの測定を可能とするものである必要がある。
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