研究概要 |
平成9年度は、第一に、幼児の身体協応性発達を明らかにするための質問紙による調査、運動協応アセスメント(Motor Coordination Assessment,以下MCAと略す)を作成した。このMCAは、日本小児保健協会で行われた「幼児健康度調査」の調査項目を参考に、以下の点から項目を精選した。すなわち、MCAは、バランス(静的バランス・動的バランス・物的バランス)が関わる項目10項目、身体意識が関わる項目3項目、手指機能が関わる項目3項目、協応性が関わる項目4項目の計20項目で構成された。さらに、MCAを3歳から6歳の幼児736名を対象に実施した。現在、各項目における年齢ごとの通過率等について、結果を処理し分析を行っている。 第二に、身体協応性の評価法として、独のE.Kiphard(1974)により研究開発された神経学的検査、The Body Coordination Test(以下BCTと略す)を、幼児(4歳から6歳)に適用するために、その簡易化が可能であるかどうかについて検討した。その方法は、小林ら(1990)のデータを利用し、統計的方法により分析を行った。その結果、BCTのTask(3種類5項目)の中から、Task1-2(Balancing Backwards・後ろ歩き:4.5cm巾の歩行板)とTask2(Jumping Sideways・横跳び)の2項目を実施することで、従来のBCTと同様の結果を得られることが明らかになった。この簡易版BCTは、従来のBCTに比較して、検査項目が少なく、対象児の身体的心理的負荷は軽減されため、身体協応性発達評価法として、これまでよりも年少の幼児(4歳児)への適用が可能である。 今後は、この簡易版BCTを4歳から6歳の幼児に適用し、Clumsinessを呈する幼児の実態についてMCAとの関連等の側面から明らかにしたいと考える。
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