<研究の概要> 本年度は、障害児の愛着の発達に関する横断的な調査を行った。愛着に関わる発達上の諸点ならびに、愛着の状態15項目に関する質問紙を作成し主として母親に調査を実施した。 総対象は731名である。精神科児童外来に通院する障害児332名ならびに、様々な療育施設に通う幼児399名に対し、1996年8月に第1回目の調査を行った。療育施設は計13施設、母子通園、単独通園、平行療育グループなど様々で、また地域的にも栃木県、静岡県、愛知県にまたがり、それぞれ特徴のある療育を行っているグループである。第2回目を1997年3月(現在実施中)、第3回目を1998年3月に同一の施設で行い、同一の対象における愛着の変化を調査する予定である。 結果:現在まで得られた資料の分析の結果としては、愛着の指標とされてきた諸行動の発達に最も全般的に関連をするのは言語的な能力の発達であり、次いで多動性であることが示された。また療育通園の影響に関しては、「要求に対してダメと言われた」ときの行動に関しては、単独療育通園を受けたものについて、愛着行動の成熟がそれ以外の療育よりも遅いという結果が得られた。また療育施設間で、著しい差が認められた。 母親の主観というバイアスもあり、2回目の調査の分析によって、より愛着の発達の状況が明らかになるものと思われる。
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