本研究は、特定の民族音楽ではなく、民族音楽の原理の体験的学習から様々な民族に音楽の認識へと敷衍させていく学習の実践を行ない、その学習での子どもの音楽の受容の様相を捉えようとするものである。平成8年度では大阪府四条畷市立四條畷小学校児童を対象とし、作る楽器の種類を太鼓、また音楽作りにおける方法は「繰り返し」とそれぞれ制限した上、太鼓の探究、楽器作り、音楽作り、そして演奏という包括的な学習を実施した。また平成9年度では大阪教育大学附属池田小学校児童を対象とし、竹林の観察、竹の性質の探究、発音原理の確認、楽器作り、音楽作り、演奏からなる総合的な学習を実施した。 楽器作りにおいて、子どもは当初は既存の楽器の音色の模倣から始まり、そこから自らが面白いと思う素材を生かした音色の追求、そしてその音色を他者と共有するため、音量の追求へと関心へと移唇していくことが明らかとなった。音楽作りにおいては、初期の段階では既存の音楽の旋律を真似ることなどが行われたが、その後、楽器の音の特徴を生かしたものへと移行していった。その際用いられた音楽の構成方法は「繰り返し」あるいは「ストーリー」であった。 以上の活動で観察された子どもの創作活動の特徴は、民族音楽にも共通しており、このような民族音楽の特徴に依拠した体験的な学習を行なうことにより、子どもは民族音楽を自分自身の体験との関わりから捉えることができ、不一致度が少なく、受け入れることができた。
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