本研究は、各国の学校の「時間」文化について調査し、国際比較を通じてその態様を明らかにしたものである。その研究成果の概要は次のとおりである。 1「時間」の概念 学校の「時間」文化を検討するにあたり、「時間」概念の理論的考察を行ない、学校にかかわる「時間」の捉え方の基礎を論じている。 2学校の「時間」文化の国際比較 学校の「時間」を次のような視点から調査研究し、それぞれにみられる傾向を国際比較的に解明している。つまり、就学義務年齢の分布、学校開始月と終了月の分布、学校の開校曜日の分布と学校五日制、学校開始時間と終了時間、学校の授業時間数、授業日数、学校の休憩時間と昼食時間、学校の総時間に占める授業時間、休憩時間の割合、学校の総時間と授業時間の関係などを分析し、日本の特徴や各国の傾向を分析した。 その結果、学校の「時間」文化はきわめて多様であり、世界の国の学校はそれぞれ地理的特性、自然的特性、社会経済的特性、文化的特性、並びに教育学的考え方などによって、多様な始まり方、終わり方を行なっている。学校の「時間」文化については、画一的、単一的にどうあるべきだ、ということは比較文化的には結論できない。それほど多様でありすぎる。日本の学校の「時間」文化はかなり長いという特徴があるが、日本以外にそうした傾向を持つ国も少なくない。 また学校の総時間との関係で見ると、授業時間を多くとるから時間が長くなる、という関係はあまりみられない。むしろ狭義の意味での授業以外の活動をどのように取り込んでいるか、教員の勤務の態様をどうするかなどによって、学校の「時間」は決まるようである。
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