(1)研究代表者のもとに既に収集済みの中国で発行された『人民日報』『光明日報』『中国教育報』の各新聞および『中国高等教育』『教育研究』などの教育専門誌の中から、高等教育の機会に関する記事、論文などを広く収集、翻訳し、整理・分類して、検討を行った。 (2)関連資料・文献、とくに新聞・雑誌のバック・ナンバーなど、本研究課題の遂行に必要でありながら、従来欠けていた諸資料を京都大学人文科学研究所、アジア経済研究所、国立教育研究所などで、網羅的に調査・収集した。 (3)以上の作業を通じて得られた情報をもとに、市場経済導入後の中国において高等教育を受ける機会をめぐって如何なる変化が生じてきたかについて、以下のような諸点を中心に具体的に解明するとともに、得られた知見を別掲の研究成果の中で適宜発表した。 (1)計画経済体制から市場経済体制へ移行する中で、社会的弱者が高等教育を受ける機会にどのような変化が生じたかを分析する一環として、とくに教育機会保障の装置である民族予科の意義や役割について分析した。 (2)別途経費(海外学術研究)により実施した現地調査の結果も踏まえ、市場経済体制下での大学入学者選抜方法の変容についても分析し、同じ漢字文化圏の国であり、市場経済原則の貫徹されているシンガポールとの比較も試みた。 (3)計画経済に基づく社会主義体制が揺らぐ中で生じている拝金主義的傾向をはじめとする弊害が教育に及ぼす影響を初等・中等教育も含めた広い視点から解析した。
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