2年間の研究計画の初年度である本年度は、「エスノグラフィー的調査データのマルチメディア・コンピューターによる一元管理及び分析」を目指して、コンピューター分析の環境整備と調査データのデジタル変換・入力に努めた。まず、アメリカの小・中学校でビデオを撮りながら観察調査した際の50巻余にのぼるビデオテープから、主に授業場面での教師の指示や教師と子どもとの相互作用を集約したテープを編集し、そのテープは録音されている会話を聞き取って文章化する作業(transcriptionの作成)を行った。また、上述のtranscriptionとビデオ映像とを一つの画面に合成して、マルチメディアのデータベース化を試みたが、現時点では動画とテキスト・データを有効に管理・保存できるハードとソフトウェアの適合化に成功していない。動画の静止画転換などで仮にデータベースの構築を果たし、来年度の本格的な内容分析に備えたい。 研究成果の一部は、山口で開催された日本子ども社会学会第3回大会で「道徳的社会化に影響するアメリカの学校の社会化「装置」」と題して発表報告し、また、96年10月刊行の原田彰編『子育て「大変な時代」』(教育開発研究所)でも第4章「家庭生活と心の教育-道徳的社会化の国際比較」と題して報告している。
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