さまざまな専門的職業への女性の進出が著しくなっているが、大学や民間企業の研究職への女性の進出は依然として閉ざされたままである。2年計画であるため、今年度は(1)カ-ネギ-教育振興財団が主催した「大学教授国際調査」の再分析、(2)『現代日本女性人名録』に掲載されている自然科学分野の女性約1、200名に対する質問紙調査、(3)統計データからの科学・技術分野の女性の量的把握を試みた。(2)については、現在分析中である。カ-ネギ-調査の再分析の結果では、世界の国々と比較して我が国においては、女性の大学人がもっとも低い割合となっていること、データを検討すると日本はわずか8%であり、次いでドイツと韓国が15%、それ以外の国々では20%以上を占めていることが分かった。とりわけ、我が国の場合には性別役割分担意識が強く、理学やテクノロジーの分野において女性の占める割合が極端に少ないことが特徴である。反面で女性の非差別意識はそれほど強いとはいえず、職場に対する満足度も高い。研究者の予備軍である大学院生の割合では、工学や理学の分野でも女性の割合が増えているが、研究者になるまでのプロセスでの消耗率が高いという傾向も見られた。
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