平成9年度は、アメリカにおける公教育テクノロジーの規範とコードを実証的に解明することを目的とした。研究代表者の北野は、ボストンの公教育制度にみられる規律・規範の問題を教室内の管理の問題に焦点をあてながら研究を展開した。研究分担者の田中は、ニューヨークの公教育を事例研究としながら、前年度に引き続き理論的研究を進めた。裏面の研究成果は、そうした研究の一部を口頭発表したり、執筆したものである。 本年度の研究活動は、昨年度から継続されている合宿形式の研究会を(第4回)を八ヶ岳高原で3日間集中的に実施した。研究協力者に鈴木清稔(大阪経済法科大学)を加え、各自がそれぞれ3つのテーマ(合計9本)を発表し、集中的に質疑、応答を繰り返した。それは、アメリカの近代公教育テクノロジーの理論的解明と個別の事例にもとづく実証的研究であった。学校装置システムを支配するコードとして、「自己統治」、「愛の教育」、「権力」、「ノーマリテイ」、「教育官僚制」などの概念を取り上げているが、今回はそれらをアメリカの各地域における公教育の実態と絡み合わせる形で研究を展開した。すなわち、学校内部の物的装置の配置システム、学校建築、教室内の教授実践、試験制度、カリキュラムの実態などを実証的に解明することを試みた。 平成10年度は、これまでの研究成果をまとめ、不足を補い、報告書として刊行する予定である。そのためには、あと1-2回の研究会は必要と思われる。
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