研究概要 |
本研究は、1820年代から1930年代における米国の幼児教育施設の保育方法を究明することを目的としているが、今年度はデューイやヒル,キルパトリックの保育理論を踏まえながら,購入した専門誌,Childhood Educationや幼稚園史に関する米国博士論文を始め、Kindergarten Review,Kindergarten Magazine、Kindergarten and First Grade Magazineといった専門誌と米国教育局の紀要を利用して、20世紀初頭の幼稚園保育の理論と実際について明らかにするように努めた。その結果、次のような知見が得られた。自発的活動の重視、環境による間接的教育、生活による教育、個性重視、援助方法としての示唆と模倣という、現代のわが国の幼稚園保育法の原則が唱えられていたこと、デューイの問題解決法やキルパトリックのプロジェクト法もさることながら、国際幼稚園連盟(IKU)の活動が幼稚園の保育実践に多大な影響を及ぼしていたこと、また、保育方法は画一的ではなく、幼稚園によって、フレーベル法やプロジェクト法、モンテッソリ-法など様々な方法が利用されていたこと、幼稚園保育法の背後には、民主主義的な社会で生きる人間の育成という目的があったこと、などである。平成9年度には、幼稚園における遊びやゲーム、唱歌、造形などの実際的な保育方法とともに、幼児学校と保育学校における保育方法の理論と実際について、イギリスの幼児学校や保育学校と比較しながら究明する計画である。
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