研究概要 |
東京工業大学など旧帝国大学以外の大学について、附属研究所等の資料収集を行った。 その分析作業は今後も継続することになるが、資料調査を通して、附属研究所の資料は帝国大学附置研究所ほどは充実していないことがわかった。そのため、附属研究所の場合には関係する学部・学科とあわせて視野に入れる必要があり、若干の事例について、それらの資料も収集した。 外部機関との関係について、統計によって全体的傾向を把握した。国勢調査や文部省年報所収の統計から大学内外の研究者数を比較し、大学に所属する研究者集団がきわめて大きな意味を持っていたことを明らかにした。しかし、1930年代には大学外部の研究者も急増し、1930年の5,000人が1940年には30,000人と、大学等教員数(18,000人)を上回るまでになっていた。すなわち、戦間期に大学の研究機能が充実したが、大学外部の研究機能は飛躍的に充実していた。 外部との関係についての事例として、硝酸の空中窒素固定法と、アンモニア・ソーダ法の改良をとりあげた。前者は、当時の先端的な外国技術の導入にあたる。後者は、明治末期から大正期にかけて導入した外国技術の改良であり、結果的に先進諸国の優良工場と同等の原単位を確立したものである。これらについて、大学人の協力・関与を調査した。
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