小学校における特殊学級と通常学級との交流教育が、近年ますます重要な指導形態の一つとして考えられるようになってきている。しかし、その場合の授業の在り方についての基礎的な研究は少ない。そこで、本研究では、交流教育の授業場面の解析的な分析を行い、障害のある児童や特別な配慮が必要な児童を含む授業の教師や他の児童間との相互作用の実際を明らかにすることを目的とした。 次に、研究計画と方法では、「文献研究」としては、交流教育に関する研究や授業分析に関する研究等を収集し分析する、「事例研究」としては、交流教育の授業の事例調査と類型化を行うために3つの学校の学級を対象に調査を行う、「研究協議」としては、10名の主に小学校の教員との間で障害のある児童や特別な配慮の必要な児童がいる通常学級における授業の在り方や進め方について検討する、とした。 その結果、「文献研究」では、交流教育全体についての文献は多く報告の観点も多彩であることが分かったが、実際の授業場面の分析に関する研究は少ないことが明らかになった。「事例研究」では、3つの小学校の3つの授業場面を対象とした。事例1では、通常学級での図工の授業に参加している小学4年生、事例2では、離席行動や多動傾向がある小学1年生、事例3では、国語や算数での特定の領域でのみで学習困難を示す小学5年生のいる、それぞれの授業を分析の対象とし、授業場面における児童と教師や児童間の相互作用の特徴を明らかにした。「研究協議」では、障害のある児童や特別な配慮の必要な児童がいる通常学級における授業の在り方や進め方について研究協議を行い、20の具体的な実践事例を含む報告書を作成した。
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