本年度は、研究の最終年度である。 研究の初めにとらえられていた、対象児の心理的問題の様は、この2年間に繰り返しなされた授業を通して、大きな変化がみられた。それぞれの対象児は、自身の、体験されていたけれども言葉にすることがなかったり気づくことのなかった葛藤を、少しずつ表現するようになった。 そのようにして表現されたものは、時に、自分自身を、脅かすほど辛く厳しい体験をもたらした。その内容は、それまで決して認めようとしなかったり、認めたくなかったものであった。養護・訓練という授業の枠が、このような危険な直面化への守りの機能を果たした。そこでの教師は、あらかじめ決められた目標に向かって教え導くという態度を放棄し、それぞれの子どもの体験していることを、理解し受け入れるよう心がけていた。 最後に、研究の初めになされたのと同じ心理検査が施行され、比較検討された。検査の結果は、いずれの対象児も、自分自身と、自分と他者と、自分と世界などの関係が絶たれていたり乏しいものであったものが、何らかの関係性が形成されたことを示すものであった。さらにはじめに認められていた行動面の問題も解消されていた。
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