研究課題/領域番号 |
08610310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
丹野 正 弘前大学, 人文学部, 教授 (30092266)
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研究分担者 |
曽我 亨 弘前大学, 人文学部, 助手 (00263062)
安 祐子 (杉山 祐子) 弘前大学, 人文学部, 助教授 (30196779)
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キーワード | 白神山地 / 周辺村落 / 住民 / 山林文化 / 観光化 |
研究概要 |
今年度は、白神山地周辺村落の住民による山林利用の実態と各自治体による観光化事業の進展状況について、その概要を把握することを目的として、実地調査および文献・資料収集を実施した。その結果、明らかになったのは、以下の3点である。 1.住民による現在の山林利用は低調である。もともと国有林の多いこの地域では、高度経済成長以後にみられる大きな生業構造の変化によって、生計における山林資源の重要性が低下し、山林労働などの場も狭まった。また、都市圏へのアクセスが良くなったことで、都市圏での勤務などに若年労働力が流出し、村落を母体とする山林文化の継承は難しくなっている。 2.かつて重要な生業活動であった山菜・キノコなどの採集、炭焼き、マタギなどは、個々人が小規模におこなっているにすぎず、山林利用の技術や在来知識の継承という観点からは危機的状況にあるといえる。白神山地の世界遺産登録を契機とする新しい傾向として注目されるのは、そのような技術や知識をエコツーリズムと結びつけていく動きである。この試みによって、技術・知識を含む山村文化の新しい形での継承と、知識・技術などのソフト面を利用した生計のたてかたを模索する可能性もある。 3.首都圏や京阪神地域からのツアーが募集され、白神山地周辺域への観光客は増加しているが、観光化事業については、白神周辺の町村がそれぞればらばらにすすめているのが現状である。観光化には、白神世界遺産指定区域の管理・利用の方針が大きく関わる。利用をめぐっては、青森側、秋田側それぞれの周辺各町村、林野庁、自然保護団体などそれぞれの主張や活動をもった主体が、共通の議論の場をもちはじめたところであるが、秋田側と比べると、青森側の地域住民からのアクセスが低い。
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