本年度は、まず4月にアメリカ、シアトル市で開催されたアジア系アメリカ研究学会でアジア系のステレオタイプに関する報告を行った。 4月には、アメリカにおける「人種」としてのアジア人の形成を帰化法の観点から追った「アジア人移民の帰化権問題と人種」(『日米危機の起源と排日移民法』(創元社)収録)に論文として出版した。夏にはステレオタイプの理論の研究史を手がけ、原稿としてほぼ完成している。12月には日本移民学会の大シンポジウムでグローバリゼーションと移民について報告を行い、その論文は学会誌に収録の予定である。また日本学術会議の人種・民俗の概念検討小委員会の委員として、日本の民族学会や教科書における人種概念について洗い直しを担当しており、その研究成果の一部は、「西欧中心的人種分類の脱構築に向けて」として『民族学研究』に発表した。この他に、昨年度に国際会議で発表した論文2本、“Multiculturalism and Citizenship:The Effects of the 1996 Immigration Laws"及び“The Images and Meanings of Japan for the Nikkei"がそれぞれプロシ-ディングスとして出版済み、あるいは印刷中である。また「戦争と色のイデオロギー」(『戦争と日本人』収録)でも人種と皮膚の色のイデオロギーについて論じた。
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