本年度の研究では、(1)白鳥おどり、(2)青森ねぶた・弘前ねぷた、(3)福江まつり、(4)地方の和太鼓グループ、のそれぞれについての実地調査をのべ5回にわたって実施し、フォークロリズムに関係する文献の収集整理をあわせ行った。まず白鳥おどりに関しては、文献調査と1997年8月2日〜4日に実施されたおどり当日の参与観察調査を通じて、近隣の郡上おどりとの比較も試みながら、おどりの歴史と現行行事の実態把握につとめた。8月上旬に実施した青森ねぶたと弘前ねぷたの調査については、福江祭りのねぶた巡行との比較考察を進めるために、もっぱらまつりの次第と進行についての理解を目指した。これらの祭礼に関する既往研究や報告はきわめて多く、青森市内の図書館における閲覧や複写にも時間を費やした。さらに、おりから実施されていた北上みちのくまつりの参与観察も行うことができた。福江まつりについては、9月中旬に現地調査を試み、実施直前時期における準備状況の把握につとめた。今年度はまつり当日の調査は実現できなかったが、昨年および本年度調査データの整理作業に時間を要した。最後に地方和太鼓グループの調査では、1997年6月と翌年2月に広島県および香川県の実態調査を行い、各地の和太鼓の動向をまとめた成果「郷土芸能としての和太鼓」(「たいころじい」15号、十月社、1997年6月、17〜25頁)のうえに、さらなる事例をつけ加えた。本年度の成果の一部は「郷土芸能と博覧会」の題目で、御影史学研究会第29回年会(1997年12月23日、園田学園女子大学)において口頭発表した。
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