本年度は研究の最終年度であり、西国幕領のうち九州幕領も視野に入れながら、畿内幕領については大和、中国勤幕領については準中と備後の関係史料の調査・収集を補足的に行った。これと併行して、これまでに調査・収集した史料の筆写と分析に力を注いだ。本研究では、(1)従来の幕府憲政改革に関する研究史を広い立場から整理し、問題点を明確にする、(2)憲政改革前設の西国幕領の状況を既存の史料集所収の史料や旧家等に所蔵されている史料等にもとづいて把握する、(3)憲政改革期の幕政の特質を幕府法令等の分野にもとづいて明らかにするとともに、(2)との関わりにおいて西国幕領に対して当該期にどのような特色ある政策が展開されたのかを明らかにする、(4)こうした政策によって西国幕領にどのような影響がもたらされたのかを究明するとともに、それに対する当該地域民衆の動向(闘争)と幕政への影響について具体的に明らかにする、(5)以上の分析をふまえて、幕府憲政改革の歴史的性格に関して再検討を行い、研究成果を発表する、ことを課題としており、事情により期間内に研究成果報告書をまとめることはできなかったが、上記の(2)〜(4)の各課題に答える史料をかなり収集することができ、それらをもとに自らの見通しを得ることができたので、研究成果を遅ればせながらとりまとめ、提出する予定である。
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