朝鮮王朝後期の葬喪礼教化史に関して、第二年度目は外縁研究として朝鮮の宗教観について考察し、その学術論文として、「普遍的世界観の終焉と宗教ファシズムの冒険」(駒井洋編『社会知のフロンティア』新曜社、1997年11月)を発表した。 学術発表は、「日韓共同研究フォーラム」で行った。当研究フォーラムは、前村山首相提言を受け、財団法人日韓文化交流基金が主催する、日本と韓国の学者700名による共同研究である。当国際研究学会の前近代史文科会が、1997年7月27日、韓国ロッテ・ホテルにおいて行われ、研究代表者古田博司は、「朝鮮王朝後期の『占山』と『山訟』」と題して学術発表を行った。本研究発表は、18世紀の朝鮮で民衆と権力者間の墓所争いと、権力者同士の墓所争いに焦点を当てたものである。また、同年10月10日、韓国高麗大学仁村大講堂において、同フォーラム学術会議で前近代班代表として、「朝鮮の国家理念と民衆」について研究発表を行った。 全体的に本研究は、第二年度目の成果でほぼ完成に近いが、史料として朝鮮王朝の17〜19世紀の政務日記である『承政院日記』を通読する必要がある。幸い本史料は研究代表者の大学所蔵のものがあるため、その成果を学術論文に結実させていきたい。
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