本研究の最終年度である今年度は、明代の南蔵・北蔵・嘉興蔵といった大蔵経に関わる史・資料の整理、情報の蒐集をさらに継続し、それに基づいた基礎研究を継続しておこなった。まず南蔵分野では、これまで漠然と語られてきた明初の洪武南蔵と永楽南蔵との関係を明確にするべく、両者の関係を多角的に検討し、その結果永楽南蔵は洪武南蔵の板木を継承しつつも、永楽帝の政治的思惑からその構成をまったく異にしたものにつくり上げられたものであったことが判明した。さらに、南蔵に関わるこれまでの研究成果を再編集し、南蔵の歴史学的研究として『明代大蔵経史の研究』を上梓した。 次に嘉興蔵分野では、次年度に引き続き駒沢大学図書館所蔵の嘉興蔵の刊記の蒐集に努め、また籠谷大学図書館所蔵本の刊記資料を集めた。こうした資料に基づき、将来刊記集を公刊したいと考えている。
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