研究対象である京都岩倉の大雲寺生成尋の渡宋記『参天台五臺記』8巻の中、初年度および2年度の研究実績を踏まえ、最終年度は第1巻より6巻に至る訳文に補正を加えながら、第7・第8巻本文の訳文をコンピューターに入力した。また『参天台五臺山記』および成尋をめぐる先人の研究業績を学説史的に整理しつつ再検討を行い、研究論文の執筆にとり組んだ。関西大学『東西学術研究所紀要』31輯に掲載の「成尋をめぐる宋人-『参天台五臺山記箭記』2-2」及び32輯に掲載の「文書・記録の日中文化交流-博徳書と参天台五臺山記」もその成果の一つであり、これにつづき「宋代の賓礼-参天台五臺山記を手懸りに-」を執筆中である。ただ7・8両巻の注は未整理であり、1〜6巻の補注とともに、また新たに出版された記注書の再検討も含めた見直し作業と研究を継続せねばならない。
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