平成8年度においては、ボリシェヴィキ革命の指導理念である革命独裁論の源流と目されるロシア・ジャコバン派に関する基礎史料を収集し、この指導原理がポーランドの人亡命者トゥールスキによるフランスの社会主義の東欧への移植であることを明らかにすることができた。旧ソ連、およびロシアの研究者はボリシェヴィキ革命の源流をロシア史の枠内に閉じこめようとする傾向が強い。しかし、社会主義が労働者による国際的連帯を前提とする以上、国境を越えた革命家の活動は当然のことである。ポーランド人によるロシア革命への積極的な参加、とりわけ革命独裁の源流をポーランドの独立運動の視点で、すなわち国際性のなかで明らかにしたものはこれまでなかった。 申請者は、本研究の前提としてロシアの硯学ウラデイ-ミル・デイヤコフ教授の業績を翻訳出版し、ロシア史研究会大会(10月26日)において本研究の枠組みを報告することができた。
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