平成8年度にはじまった本研究は、今年度をもって締め括ることになる。本研究において、20世紀最大の歴史的事件として世界に衝撃を与え、74年の歴史に幕を閉じたソ連邦成立の歴史的背景を実証的に検証することができた。19世紀社会主義運動史のひとつの方向として確立された革命独裁の起源がフランス大革命のジャコバン独裁にあり、それを継承したブランキ派によって発展され、ポーランド人亡命者によってロシア人革命家グループ(通称ロシア・ジャコバン派)に伝授されたことが、本研究において明らかにされた。マルクス・レーニン主義の起源の探索は、研究史の上ではロシア革命運動史の枠内に閉じこめる傾向が強かったが、フランスのブランキ派とロシア・ナロードニキとの接着剤を役割を演じたポーランド人亡命者の役割を解明することにより社会主義運動の国際性が確認された。 なお、本研究は、平成10年度の文部省研究成果公開(出版助成)により学術書「革命独裁の史的研究、ロシア革命運動の裏面史としてのポーランド問題」 (多賀出版、1999年2月)にまとめられ、刊行された。
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