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1996 年度 実績報告書

郷衙・郷長宅に関する考古学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08610414
研究種目

基盤研究(C)

研究機関奈良国立文化財研究所

研究代表者

松村 恵司  奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 室長 (20113433)

キーワード郷衙 / 郷長 / 集落 / 郡衙
研究概要

「郷長」「里長」墨書土器、刻書紡錘車の集成作業を行った結果、全国で13例を確認することができた。それらの出土遺跡は、竪穴住居を中心に構成される一般集落タイプと、複数の掘立柱建物で構成される類官衙タイプの二者に分類できる。後者は郷衙の存在を推測させるものではあるが、郡衙にみられる建物配置の規格性を欠如し、大型建物を伴わないなど、郷長の私宅の域を出るものではない。出土遺物の分析では、郷長の経済的優位性や、官衙的要素を抽出することができなかった。これらの事実は、郷長が白丁から任用され、律令官人機構の中に組込まれなかった事実と符合し、「郷長の私宅に付随して郷衙が存在する」という説に対して否定的な結論が導き出された。
次段階の作業として、大規模発掘調査によって郷域の復原が可能な千葉県八千代市村上・萱田遺跡群(下総国印旛郡村神郷)を対象に、郷の構造分析を行った。特に集団の標識記号とみられる墨書文字の共有関係をもとに、各集落の内部構成や集落相互間の集団関係を復原し、集落の動態と集落間の有機的関係を明らかにした。この成果に鉄製品の出土量や、出土〓帯の寸法に基づく有位者の推定位階を重ね合わせることによって、在地における政治的社会関係を追究した。その結果、集落の消長(開発に向けた労働力の再編)を主導し、鉄製品の供給関係を保障したのは、郷長レベルの階層ではなく、郡司もしくはそれと同等の政治・経済力をもち、律令官人機構の末端につらなる有力豪族層であるという見通しを得た。次年度は、これら有力豪族層の居宅や郡司の舘の実態解明、集落に展開する郷衙関連施設の追究が不可欠の作業となった。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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