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1997 年度 実績報告書

南西諸島地域の貝類からみた環境考古学に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08610420
研究種目

基盤研究(C)

研究機関千葉県立中央博物館

研究代表者

黒住 耐二  千葉県立中央博物館, 動物学研究科, 学芸研究員 (80250140)

キーワード環境考古学 / 南西諸島 / 貝類 / 貝塚 / コラムサンプリング / 水田 / 貝製品 / 人為的撹乱
研究概要

今年度は,現地調査および資料分析を,鹿児島県奄美大島笠利町の用見崎遺跡で実施した.同時に,遺跡周辺のサンゴ礁における海産貝類の生態分布調査も行った.また,これまでに得られたサンプルの処理も継続した.
サンゴ礁海域に面した砂丘遺跡である用見崎遺跡の弥生時代相当層,ほぼ無遺物の砂丘形成層,そして古代・平安時代相当層から,連続した堆積物をサンプリングし,そのサンプルからフローティング法によって,微小貝類を抽出した.亜熱帯の砂丘地域は非還元的な環境であり,有機物の分解が速く,また土壌間隙も大きいために,この地域では花粉分析等が実施できない状況にあった.砂丘遺跡においても,多数の微小陸産貝類が得られた.その種組成及び量的組成から,この遺跡では下部の弥生時代相当層の時代には林縁的な環境にあったものが,砂丘形成期を経て,古代の層では草原的な環境になり,平安時代相当層にまた林縁的な環境になったことが示された.このように,亜熱帯の砂丘遺跡でも,陸産貝類を指標に,遺跡周辺の環境の復元が可能であることが示された.
今年度は,その他にも,沖縄の12世紀頃の遺跡から,ヌノメカワニナを中心とする層準が確認され,戦前の耕作土層の貝類組成と大きく異なっていることがわかった.このヌノメカワニナの優占する層準は,稲であるかどうかは不明であるが,水田である可能性が高いと考えられた.
また,南島の貝輪の素材として最も良く利用されていたゴホウラの採集された遺跡の立地場所を,海図や航空写真を用いて検討した結果,いずれもサンゴ礁のリ-フの切れ込んでいる場所であることがわかった.その意味については,来年度に詳細に検討したい.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 黒住耐二: "1996年の用見崎遺跡調査でコラムサンプルから得られた貝類遺有体" 熊本大学考古学研究室活動報告. 32. 35-41 (1997)

  • [文献書誌] 土田英治・黒住耐二: "奄美諸島徳之島、山の海岸の貝類-特に外洋性砂浜群集について-" ちりぼたん(日本貝類学会研究連絡誌). 27(3・4). 75-81 (1997)

  • [文献書誌] 黒住耐二(分担執筆): "貝のミラクル.軟体動物の最新学(分担:孤島のミラクル)" 東海大学出版会, 350(14) (1997)

  • [文献書誌] 黒住耐二(分担執筆): "日本動物大百科.7巻.無脊椎動物(分担:陸生巻貝類)" 平凡社, 196(5) (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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