本研究の目標は、漢籍の中の語及び金言成句が日本語に影響を与えたさまを具体的に明らかにすることであった。目標の大きさと二ヶ年という時間故に、十分とは言えないが、成果があった。 漢籍の漢語及び金言成句は、日本の奈良時代に中国より入った。鎌倉時代には四稚の大金言集、世俗諺文、管〓抄、玉函秘抄、明文抄が編まれた。室町時代には、それらをわ型化した、金句集、逆耳集などが出る。これら金言集の要点は既に知られているが、厳密には十分ではない。これらの研究は、国語史上も文化史上も重要である。 まず各書の最善写本を定め、本文を校定した。写本を各地図書館・文庫に訪れ、実見し、写真を入手した。次に各句集間の影響関係を考えた。また、各句の原漢籍のどこにその句があるかを調査した。一例「明文抄」は五巻十四部の大冊で2237句ある。しかも誤字脱文が多い。それを原漢文で調査した。 この調査が本研究の最大の特色であり、成果を公刊すれば、学界に貢献すると信じる。
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