以下のそれぞれのテーマにおける今年度の研究実績は次の通りである。 1 各時代、各文章ジャンル、各資料などにおける助数詞表現の検討と用例の収集を、時間の許すかぎり行った(前年度に続く)。中でも「山科家礼記」や近世従来物関係における収穫は大きい。 用例の収集については、終了ということはない。共時的研究・通時的研究のいずれにおいても用例が基礎となるので、今後も弛まずその収集に努めたい。 2 日本語助数詞の実態と歴史的展開の把握、また、その展開の必然性についての考察:この代表的な事例として、日本の鷹狩り文化に関する「鷹」の助数詞について歴史的考察を行った。今後には、衣類、魚介類、等々、分野ごとに細かく検討していかねばならない。 3 中世から近世における「助数詞教育」の意味についての考察:助数詞の用例・用法等を追求していく課程において、おのずから中世から近世における「文書作成教育」の在り方を考察することにもなった。即ち、助数詞は、文書類(薄籍、証書、手紙、その他)の作成には不可欠の存在であり、その用法の習得こそは、文章作成者に必須とされた教養でもあり技術でもあったらしい。 4 日本語の助数詞と、中国・その他における助数詞相当語(類別語・量詞)との比較研究:漢代前後から唐代にかけての、西北辺境遺跡出土の簡牘類、墓葬出土の簡牘類を調査し、多くの量詞(助数詞相当)の用例を得た。 また、タイ語、ラオス語、マレーシア語、カンボジア語、ベトナム語など東南アジアにおける類別語(助数詞相当)を調査し、その根底にある類別の原理について考察中である。 5 現代の新聞における助数詞の調査:現代の朝日新聞により調査した。 6 方言生活における助数詞の考察:島根県全域について調査した。
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