• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1996 年度 実績報告書

近代文芸の形成における傍訓の機能

研究課題

研究課題/領域番号 08610438
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

斎藤 希史  京都大学, 人文科学研究所, 助手 (80235077)

キーワード傍訓 / 永峯秀樹 / 英華字典
研究概要

従来の研究成果から、傍訓にかかわるものを収集・整理し、文化史的觀點から見たおおまかな流れをたどった。傍訓はたんなる「よみがな」ではなく、一種の語訳である事は言うをまたないが、その機能がより鮮明になるのは、中国より大量の白話語彙が流入することと関りがあるのではないかと察せられる。そのため、とくに小説や語録などの和刻に調査の重点をおき、そのうえで、《雑字類編》などの漢語辞書に語釈としてふせられた傍訓にも着目した。
《雑字類編》は初学者が漢文を作るときに用いた辞書であり、和語から漢語を引く事が出来るいわば「和漢辞典」なのだが、それがどのような発達過程を経たか、このような辞書がなぜ必要であったかを念頭におきながら、その把握に努めた。總じてこの作業においては、近世日本における漢語と白話語彙と傍訓という三者間の関係の整理がおこなわれたと言える。
また《雜字類編》は、《蘭語訳撰》などにも影響を及ぼしているとされるが、この観点から、蘭和・英和・英漢辞書とのつながりにも重点をおいて調査をすすめた。その過程で、これまであまりとりあげられてこなかった永峯秀樹訓釋《華英字典》(じっさいは《英華辞典》)が、英和辞書発達史の観点から見ても興味深い素性をもつ書物であることがわかり、その電子テクスト入力を精力的に進めた。周知のごとく永峯秀樹には《欧羅巴文明史》などおおくの翻訳書があるため、それとの対照もおこなったが、いまのところ有意と看做しうる関係は見出されていない。
来年度より計画している明治期のテクストの調査の前段としてはやや手を広げすぎた感もあるが、全体の見取図を作成するには有意義であった。

URL: 

公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi