研究概要 |
宋・元版,五山版等の調査を継続したが,その過程で,大蔵経の補刻葉の問題に逢着した。前年度に発表した「下州千葉寺了行」の補刻の時期の問題について,更に精細な調査を行ない,我邦の渡宋僧の補刻活動が少くとも三度に亘るものであること,書陵部蔵一切経の最終補刻時期に,邦人僧行一などが,宋僧(?)可森の勧縁に応じて渡宋捨財していたことが判明した。 写本類の調査の方面では,東密の栄海や「三宝」などの机辺に宋代撰述書が豊富に活用されていたことなどが判明した。今後の課題となろう。具体的には「真言伝」撰述過程の解明と「仏祖繩記」などの影響,更には「事林慶記」などの受容を,古逸書「翰苑」の引文などと併せて,若干追求した。
|