柳亭種彦の基礎的研究の一環として、前年度に引続き柳亭種彦年譜の作製と種彦の書誌的研究である書目類の整理、及び『柳亭種彦古浄瑠璃本目録』の入力に勉めた。これらの書目の成立年代について多少の考証を行ったが、これは未定校の段階である。また副産物として出板史に関わる資料を入手したが、これらについては今後の研究課題である。年譜に関しては、種彦の旧蔵書の識語を中心に調査を行い、アルバイトを使用してデータの整理を行うと共に年譜の入力を開始した。 さらに神宮文庫所蔵『聞くまゝの記』の調査を行い、木村黙老著・曲亭馬琴補遺『水滸伝考』が種彦と『水滸伝』の関係を明らかにするばかりか、日本に於ける『水滸伝』享受史の最重要文献の一つであることが判明したので、その解題と翻刻を『実践国文学』52号に発表した。また種彦と喜多村〓庭の関係の考証随筆に於ける交流の一部を『嬉遊笑覧』」として紹介した。 さらに年譜研究の基礎資料である種彦の書簡を収集・整理して「柳亭種彦書簡集」として発表した。
|