当該研究課題の研究を遂行するために、中島広足関係資料の調査・収集を、次の各地および各所蔵機関で行った。 1.長崎県立長崎図書館および国立国会図書館において、平成8年度、9年度に未調査の資料を調査し、広足関係資料を写真撮影によって収集した。また、茨城大学付属図書館(菅政友文庫)において、広足関係資料を調査した。そのうちの『橿のくち葉』『水江物語』は、早い刷りのもので注目できるものであった。 2.広足の門人であった武藤陳亮に関する資料調査を柳川古文書館(福岡県柳川市)で行った。武藤家から柳川古文書館に寄贈された資料は、現在整理中のために閲覧できなかったが、渡辺文書を中心に調査を行った。 3.松浦史料博物館(長崎県平戸市)において、広足関係資料を調査した。重要点は次の通り。 (1)弘化2年時点での『豊宮崎文庫書籍目録』の「歌部」に広足の著書が記載されていることが判明した。(2)長崎諏訪神社大宮司であった青木永章の『後東路記』が所蔵されており、広足による絵数葉が描かれていることが判明した。貴重な資料であると思われる。 なお、写真撮影が一部しか認められず、調査期間に限りがあり、書写ができなかった資料がある。今後の補充調査が必要である。 4.個人宅での資料調査は、広足の門人であった松藤成保(長崎県南高来郡小浜町)、相賀照忠(佐賀県武雄市)のご子孫宅で、ご所蔵の資料を調査した。相賀家では昨年度調査した際には未発見であった広足の懐紙や、照忠の歌学資料を写真撮影によって収集することができた。 なお、資料の調査・収集と平行して、収集資料の翻刻とデータベース化を行っている。
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