本研究はまず、創作文体論の理論の整理から始まった。まず、文体論関連図書、クリエイティヴライティング関連図書の中から、言語表現と意味伝達に関する部分を抜き出し、それをテクストの要素別(語り手、読み手、視点、時制など)、文法のレベル別(意味論的、統語論的、語彙的、書記素論的、音声的レベルなど)に分類した。さらに、発信者主体のテクスト生成モデルを立て、先に分類した項目をその枠組みに当てはめ、テクスト生成という統辞的プロセスと、言語的変異形からなる選択の範列を組み合わせることによって、英文による作品創作のための「チェック・リスト」を作成した。チェック・リスクの項目は次の通り。1:意図(作者の創作意図の確認)2:メッセージ、主題、モチーフ(作品の基本となる内容的土台の確認)3:テクスト・タイプ(作品のテクスト形式、あるいはジャンルの設定)4:物語設定と人物設定(作品構成の決定)5:語りの構造と視点(どのような語り手がどのような視点から語るかの確認)6:時制と時間の移動(作品の中における時間の処理)7:統語的選択(内容にふさわしい文構造の決定)8:語彙的選択(内容にふさわしい語彙の選択)9:音声的選択(内容にふさわしい音の選択)10:書記素論的選択(内容にふさわしい表記法の選択)11:隠喩と象徴性(作品全体を統合する比喩と象徴の図式の設定)12:結束性、一貫性、およびテクスト全体のパターン(作品全体に文法的・内容的な統一感を与えるパターンの設定)。平成9年度においては、このリストを教育の現場で応用するための指導要領を作成する。
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